突拍子もなくこんな風にサイトを始めてしまったわけなんだけど、なんだかとても気持ちがいい。ずっと「なにもない空間」を求めていた。まえに春秋蜜柑という詩のサイトをやっていらっしゃる武田地球さんという方とお話ししたとき、「なにもないところに一冊だけ詩集が丁寧に置かれていたら、きっとそれを読みたいと思う」という話をしたことがある。「なにもない」というのは本当はきっと豊かなことだと思うのだ。
サイトを始めるにあたって、とにかく下部に「powered by〇〇」みたいな表記がでないフォーマットを探した。ユーザーインターフェースに中指を突き立てろ、と言わんばかりにデフォルトの「メニュー」やら「最新の投稿」やら「こんな記事も気にいるかも?」を消した。いまこの記事を書いている日時がわかるようなタイムスタンプも消して、最終的に執筆者の名前もいらないな、となった。なくなって分かったのは少なくとも僕にとってはそれは必要のないものだった。
このサイトが最終的になにを目指しているのか。それは今のところ分からない。中学生のころに流行ったゴーイングステディというバンドが「はろー、いま君に素晴らしい世界が見えますか?」って歌っていたのを思い出した。今あなたに素晴らし世界が見えていたらいい。でもそんなのは嘘で、僕にいま素晴らしい世界が見えてたら別にそれでいい。
とは言ったものの、ひとりではなんだか心細いからとある二人に「何か書いて」とお願いしてみた。書いてくれるかは分からないけど、誰が書いた文章なのかユーザーインターフェースを消してしまったのでもう判別がつかなくなってしまった。人生はままならないのである。
だからできるだけ目立たないように文章の最後にいま君に「はろー」と呼びかけているのが誰なのかは書いておこうと思う。
ukari