2026年 なにもないところ大賞

「なにもないところ」ではWEB上に掲載するオリジナルの文章を広く募集しています。文体、ジャンルは問いませんが、面白い文章を期待しています。あなたの才能あふれる作品をお待ちしております。 募集内容 なにもないところに掲載す...

青木真也の独白について

文学とは、うまい文章のことではない。美しい比喩があるから文学なのではない。語彙が豊富だからでもない。改行が巧みだからでもない。まして「文学的」という形容詞を貼りつければ、そこに文学が発生するわけでもない。 文学とは、文脈...

大宮事変

  新宿は豪雨。大宮は曇り。そんな都合よく出てくる「あなた」なんて私には存在しない。スマホを弄ってSpotifyの再生を止めると、電車が枕木を叩く耳慣れた音が聞こえて、窓から入ってきた曇った光が足元にとまってい...

bledisang

 flower 祟り花は大陸からやってきた。罹患すると肌が、腕が、指がどんどん葉や茎に変わり、顔は色づきぱっくりと割れ、やがて全身が花になって咲いてしまう、原因不明のおそろしい奇病だった。いや、病であるのかどうかすら定か...

海と波について

シャッターを躊躇う指の隙間滑り落ちたスマートフォンは運良く彼女のバッグに収まるもう一度拾い上げると、滑らかなフォルムに反射した光が風もないのに海に向かって走るビーチパラソルによって作られた影脇に置き去りにされた花火の燃え...

牛乳の温度

Ⅰ 高木三智絵  彼女は眠りにつくことを覚えられなかった。夜になると、身体だけが布団に残り意識は店の蛍光灯の下を歩き続ける。数えきれない商品の影、値札の裏の埃、父の声の残響。眠りはいつも閉店後に現れない客のようだった。苦...

日めくりカレンダーを、一枚めくったら雀が、こぼれ落ちてきた。雀をめくったら、ほんの少しの未来があらわれて、過去をなくしてしまいそうになった。雀は、きっと時間を追っていて、だれかの青春と、雀の過去が重なったときに、不意に雀...

白髪を抜く

白髪を抜くと剥げてしまうことは分かっている。それでもわたしは自分が年を取ったことを受け入れることができず、生えてきた白髪を抜くということで老いという事実から目を背けている。だって、成長しきった人間にとって年を取るって見た...

本のはなし 考察する若者たち/三宅香帆

三宅香帆著『考察する若者たち』を読み終わった。以下端的にまとめる。 おそらく著者のコアにある問いが考察/批評の二項対立における考察の台頭に対する疑問符だと思われる。考察は正解があるもので、批評は正解のないもの。令和の時代...