日めくりカレンダーを、一枚めくったら雀が、こぼれ落ちてきた。雀をめくったら、ほんの少しの未来があらわれて、過去をなくしてしまいそうになった。雀は、きっと時間を追っていて、だれかの青春と、雀の過去が重なったときに、不意に雀...

2026年 なにもないところ大賞

「なにもないところ」ではWEB上に掲載するオリジナルの文章を広く募集しています。文体、ジャンルは問いませんが、面白い文章を期待しています。あなたの才能あふれる作品をお待ちしております。 募集内容 なにもないところに掲載す...

白髪を抜く

白髪を抜くと剥げてしまうことは分かっている。それでもわたしは自分が年を取ったことを受け入れることができず、生えてきた白髪を抜くということで老いという事実から目を背けている。だって、成長しきった人間にとって年を取るって見た...

本のはなし 考察する若者たち/三宅香帆

三宅香帆著『考察する若者たち』を読み終わった。以下端的にまとめる。 おそらく著者のコアにある問いが考察/批評の二項対立における考察の台頭に対する疑問符だと思われる。考察は正解があるもので、批評は正解のないもの。令和の時代...

『ゲボに光るいちごミルクキャンディみたい』

   ゲボみたいに輪郭のない人生について書くとしたら。  2023.8.20  「母が亡くなりました。猫については……」 愚痴でその存在を聞くだけだった佐藤さんの息子さんからの着信に呆然とした。突然の...

三浦果実のニューアルバム『23世紀の詩論』

 この記事は当初、歌誌『帆』第四号への寄稿文として書いた。しかし残念ながら採用されなかった。私的には良く書けた記事だという自信もあって、『なにもないところ』に掲載させていただいた次第である。この記事の内容は寺山修司の歌論...

濾過された声

 母との待ち合わせ場所へ行くには、駅からかなり歩かねばならなかった。この場所のように、都市とそのベッドタウンと、そのベッドタウンではたらく人々が仕事以外の生活をする場所に、まだ適切な名称はないのだろうか。  深い緑いろの...

空飛び

 なぜだか昔(といったってまだ12年の人生)から金星に興味があって、西側の空の夕闇をずっと見てる。夕闇の空にはじっと僕を見つめている目があるの。その目は宙にずっと浮かんでいて、不思議な怪奇現象とかではなくてアニメみたいに...