「詩 コミュニティー」で検索をした。詩と呼ばれる文字列を見て回る。解毒剤のような、強心剤のような、麻酔のような、弱くて小さなまだ息をしている大事な何かを感じようとする努力のような、助けを求める信号のような文字列。人が文字列を書き連ねようとする動機の様々がある。
詩と呼ばれる文字列のコミュニティーを見て回る。ある種のジャンル、味付け、装いをしている。この場所はむずむずするな、とか、この場所はいいな、と感じる。この場所は気持ちよさそうだなと思いながら、誰にも受け取られず捨て置かれるように見える文字列に気持ち悪さを感じている自分に気持ち悪さを感じるようになった。他の人が書いた文字列を勝手に食べて、勝手に消化して、勝手に血肉にする。それでいいはずなのに。子どもが大人のやりとり大人同士のやりとりから言葉を真似て使うように。私はこの場所にある種の心地よさを感じているはずなのに。なんだろう、この虚しさは。違和感を感じている私は。
白雪姫は孤独だった。つまらなかった。
現れるはずの小人も来ない。
王子様が来たならきっと素晴らしい暮らしができると信じ込んでいた。
白馬の王子様を待って眠ったままの白雪姫。
しかし王子様と白雪姫が繋がる偶然は訪れない。
小人がいないからだろう。
時間だけが解けて流れる物語の虚しさ。
肉体が朽ち始め、焦った白雪姫は独白を始める。
繋がりたい結びつきたい感じたい。Vtuberのファンコミュニティー。ある人は家族だ、家だ。と表現した。ゲーム仲間。ある人は友達だ、ご近所さんだ。と表現した。好きは心地よい。繋がりたい。別の何かと。恋愛。ある人が言った。好きな異性と両思いになることはほとんど全く全然ない。どこかに誰かに固執してはならない。今までずっと試してきたじゃないか。お前の肩に乗っているそれに、お前は気が付かないのか。お前がお前の力の及ぶ範囲で満足する場所を、暮らしを、営みを想像しろよと誰かがいう。遊べよ、と言う。満足して遊べるように、遊び続けられるように、整えよと言う。遊びたがってうずうずしているお前を縛っているのはなんだ。どこかで憑いてきてしまったソレを削ぎ落とせよと、声は言う。
子どもは絵を描くことに満足する。誰かに見てもらいたいとは思わない。喜びですらない。ただ行為に没頭する。子どもの暮らしを想像してみる。僕はかつて子どもだったらしい。街で弾き語ることに満足をする。誰も足を止めなくたっていい。誰かに届いている可能性だけでいい。ただ、家で弾くのとは違う。この心地よさはなんだろう。僕はかつて子どもだったらしい。自分一人で遊んでいて、他の人と一緒に遊ぶことを空想できるなら、有難いことじゃないか。素敵なことじゃないか。幸運じゃないか。満足ができないのは、お前についているソレがいつも飢えているからだ。と誰かが言う。ソレを甲斐甲斐しく世話して老いて死にたいか。今お前は死んでいるんだぞ。と、声は言う。
虫は体を震わせて音を出す。
焦って眠りから目覚めた白雪姫は音を出す。
てるろーん ぽろろーん
白雪姫はほよほよと暮らしましたとさ。
(小人が音を聞きつけてやってきただろうかしらん)
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