BIRTHDAY SONGを待ちわびていた地球の終わりに

佳人の瞳からこぼれた旋律。
戦地にはもう煙は立たない。
虹色の相貌をした空には鳥の群れが泳いでいく。
東京から暴徒は消えた、京の都にも薔薇の吹雪が舞っている。
祝祭の予感、ハッピーエンディングの色彩が街を包んでいく。

流星群から別たれた双子が地球に降りてくる。
気だるく憂うつなニュースを見て、扉を閉める人々も、
決して赤には戻らなくなった信号機も、
塞ぎがちな晦冥の男も、軟着陸する場所を見つけている。
夢見がちな子供たちでさえも、現実の美貌に見惚れはじめている。

三度目の戦争が始まると予感する人がいる。
弾道も不穏な足跡を残して、彼の地に辿りついた。
東方の三賢者も仲違いを起こすかもしれない様相だ。
ただ、それでも19才の青年の口からあふれた言葉が、
彼がつま弾くピアノの音が、争いから人を遠ざける。
暴力と不義がおおっていた街に、自由の芽吹きが訪れる中、
賭博師も街娼もペテン師も、矛をおさめて静かな音楽に聴き入っている。

列車で隣に座っていた男が言った。
「不戦を言うなら、戦争を引き起こす男を殺める覚悟が必要だ」
でも今やそんな言葉でさえ掻き消えそうな歓びが近づいている。
BIRTHDAY SONGは絶えることなく流れ出し、解放の涙を流す者もいる。
2024年、今は2024年だ。

2024年12月31日、政府は紛争地への武力介入を表明し、軍の派遣を最高司令へ言い渡しました。またこの武力介入で予想される各国の被害は数千万人に及び、被害額は想像を絶する数値を計上する模様。皆さまの新年が曇らず健やかで、幸せに満ちたものであることを願うばかりです。

双子がこの星で目覚める夜、こんな夜にこそ。

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