かみときは白嶺に溶けていく

晴れた空が僕を包んでいく。
妙に艶かしくもあって。
紅が斜めに傾いていく。
デジャヴは夢の名残りだと知りながら。
昨夜の秘め事を振り返り、
僕は陰を照らす光源に変わる。
苦悩の亡霊さえ退かせて。

笑わない道化師のショーの後、
僕らは後ろめたさを感じている。
この曲技小屋を抜け出して、
途切れない海が見える場所へ、
今すぐ君の手を握りしめて。

今夜見える月影、僕らを連れ出していく、
この世の浅ましさも、悲しみさえも一緒に。
僕らは回るメリーゴーランドの上にいて、
それでも譲れない夢の痕を、
田園に振り撒きながら、行くよ。

疾走する僕の心は君へと寄り添って、
永遠に離れない約束を誓っている。
君は惑いと歓びを抱えながら、
僕の掌を握りかえす。
戻れない旅路を見据えたまま。
僕らはユダの追従者さ。

花の名前を忘れられない。
瞼の裏に強く焼きついている、
背中のほくろがやけに眩しい。

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