甘いコーヒー

北極星なんてもう全然話にならないんよ
マスク越しのフェイスシールドなんて
もう笑っちゃうくらい曇ってね
滲んだ光がどこかリアリティを失って
バックミラーに並んでるそれをみると
灯籠流しみたいに幻想的でさ
自分の命を左右してることなんて忘れちゃってね
実際危ないんよ
50ccなんて蟻みたいなもんだし
けど二段階右折なんて面倒じゃん
別に客の飯なんて冷めていいんよ
なんか現実感忘れてるって言えばいいのかな
別に死んだら死んだでコスパいいし
確かに警察だけはダルいな
ビストロスマップ出たらなに頼むか考えててさ
俺は昔からそういうのはちゃんと考えるタイプやん
ただ考えても考えてもよく分からなくて
高いものが食べたいとか言うゲストなんてダメでしょ
いやぁ寿司は運ぶの大変なんよ
すぐバラバラになるからな
ああ
ビストロスマップの話か
結局俺が出る前に終わっちゃったな
そもそもデビューする以前にオリジナル曲一個も作ってないもん
でもある意味惜しかったよ
ほら
天才と凡人は紙一重って言うじゃん
10時くらいになると鳴らなくなるから
そのままスタンド行って缶コーヒー買って
普段甘いコーヒーなんて飲まんのにね
その時だけは甘いコーヒーが美味いと思うんよ
そんでまだこのエリア始めたてだから
自分が何処らへんにいるかも分かってなくてさ
しばらく星とか眺めたりしてな
このまま星をあてにしてどこまでも行ければいいなとか思ったり
ただまあスマホの充電もギリギリだし
大人しくグーグルマップに導かれていくんよ
夜は眠るための時間だって
あの頃は思いもよらんかったよな

ukr

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