牛乳の温度 Ⅰ 高木三智絵 彼女は眠りにつくことを覚えられなかった。夜になると、身体だけが布団に残り意識は店の蛍光灯の下を歩き続ける。数えきれない商品の影、値札の裏の埃、父の声の残響。眠りはいつも閉店後に現れない客のようだった。苦...