親知らずを抜く

先日、親知らずを抜いた。歯茎に埋まって少しだけ顔を出していた親知らずが、40を過ぎてなぜか生え始めてきて(今さら?)、すこし痛みがあったので歯医者に行ったところ、これはいずれ悪さをするからいつか抜いたほうが良いね、と先生...

蝶々のような

台風が近づく縁側、真夏特有の香りが鼻をくすぐる。あふれるニュースは、明るい未来への道しるべではないのに、人はまだ夢を見ている、繰り返し繰り返し。それは僕でさえ例外じゃない。未来に無形の、それでいて最高の価値があると、信じ...

なぜ詩を書き続けるのか

 この世界は、それでも生きようと挑み続けることに値するものなのか。より良く生きたいと願い、少しでもマシな人間になろうとすることを諦めないことは出来るのか。それらの検証が終わらないうち、途中でやめてしまってもいいのか。  ...

本のはなし 川上未映子『ヘブン』

これから読書録なるものをここに書きますが、それは誰かに読まれるための文章ではなく、ただ自分に向けて書かれた文章なので独りよがりなレトリックや、論理構造のはっきりしない逡巡などがみられるでしょう。どうか寛大な気持ちで見過ご...

WORLD CITIZENとはもう歌えない

男と女の性差がない世界に僕らは住んでいて、ユニセックスな音楽を聴いては、このギターパートはいい、あるいはよくないだなんて、退屈しのぎには最適な、時間の過ごし方をしている。僕らはあまりに犯罪的なモラトリアム集団だ。 朝の仕...

カレーを食べるというとてもかなしい行為について

最近はたまにスパイスカレーなどを作っている。玉ねぎ、生姜、ニンニクをみじん切りにするところから、それらを炒め飴色というよりも、もっと焦茶色というか長年手入れされていない排水管にこびり付いた錆の色になるまで炒めるところから...

それは空想の生き物だと言われている

ドラゴンが鳴いた。 台所で皿を洗い続けていた僕が、どこか遠くからやってきた低い唸り声のようなものを内蔵あたりで感じ取ったというだけの話だ。 ドラゴンは腹を立てているのか憤っているのか、それとも。 僕は怯えたらいいのか恐れ...

日常

東京から風が吹いてくる、俺の街にとってはケッタイな逆風だ。努力も時間もけっこう惜しまずに、明るい未来って奴のために、働いて、羽ばたいて、米炊いて、君抱いて、底なしの失望なんてものを、蹴散らしてきたんだよ。 相変わらず言い...

暑いということ

なんてったって暑い。家に出る前にコップ一杯の水を飲んで、日傘を差して、水筒まで持って外出しているにも関わらず、顔はおでこからほっぺまで真っ赤になり、首筋から胸元から汗がしたたり、なんだか頭も痛いような気もして、それは暑い...

生活

そうして何だか、こうして文章をぽつぽつ書いているわけだけれども、生活というものは本当に味気のない日々が続いているばかりで、平日はといえば九時から十七時までじっと椅子に座って誤字脱字がないかひたすら文章を校正校閲する仕事を...