景色×速度= 

その答えがなんにせよ一定であるということをいつも私は忘れている。毎日、電車の窓に置き去りにしていく景色の奥で、冬の風に靡く草の長さが驚くほどに不揃いであることを忘れているし、名も知らぬ草が先端から土色に枯れつつ根元にはま...

短編小説:なにもないところ

──気付けば私は、真っ白な世界に立っていた。雪山だろうか、とも思ったが、気温は低くなく、秋と冬の境目のような心地よい気温だった。何度か足踏みをしてみる。地面は固く、さらさらしている。アスファルトのようにごつごつしているわ...

ゴミみたいな

https://www.lyricals.net 知人がやっているWebマガジンに群青ズンビィというとても粋なサイトがあって、先日僕のところに執筆依頼が来た。先日といってももう随分前の話になってしまったのは僕がそれを書き...

適当に生きて、何者でもない自分を守る

この世界で生きていく限りは、「ちゃんと生きなければいけない」のだ、と気付いたのは最近のことだ。ちゃんと、きちんと、ていねいに。適当に生きていることは、この世界で言う「生存」には当てはまらないのだろう。そう考えると納得がい...

無職流:「メール職人」へのリスペクトの深め方

「メール職人になろう!」9月号のお時間です。 9月は本当に全くダメでした。まず、メールがほとんど送れなかった。そして、なんとかかんとか送った数通も『狙い過ぎていた』。少数精鋭で突破しようとして、肩に力を入れすぎた。これが...

悲しみの副産物として生まれていく物語

物語が生まれるのは、決まって悲しいことが起きた時だ。それも、とびっきりの悲しいことでなくてはならない。ほんの少しの、例えば小指を箪笥の角にぶつけただとか、自分の周りから小蠅が離れないとか、そういう小さい悲しみじゃなくて、...

めざせ不完璧マスター!

とにかく書くことから始まるのだ。とにかく生きて、こころで思ったことを、なんでもかんでも書くことから始まるのだ。俺は長いこと全く勘違いをしていたのだ。良く書かなくてはならないのだと思っていた。完璧に書かなくてはならないのだ...

頭の中で組み上げる、不格好で脆い何か

私はこうやっていろんな場所で文章を書かせてもらっているが、お察しの通り頭は決して良くない。むしろ悪い方だ。頭が良くないので、漠然と「賢くなりたい」と考えて、いっぱい本を読んだり、手当たり次第に知識を集めてみたり、たくさん...