優しい場所への逃避行

「優しい場所」の入り口は、いつだってベッドの中にある。 優しい場所に行きたいと思うのは、傲慢なことだろうか。そこはきっと、某夢の国のような、得も言われぬ空気に包まれているに違いない。 布団にくるまった時の、あの容易に呼吸...

焼きおにぎりが食べたい

「なにもないところ」というサイトでの文章の執筆依頼があって、実際に2つほど文章を書いてみたのだけれど、読んでよかったと思っていただけるような文章は書けなかった。誰かの役に立つようなことは思いつかないし、これからもなんだか...

37歳ではじめてゲームをやってみたはなし

あれは本物のゴリラか? いや、違う。金髪の角の生えたゴリラみたいな生き物だ。そしてその金髪ゴリラは突然、うおおおおおお! と雄叫びをあげる。その瞬間、目の前の景色は金色に輝いて、何もかもが明るく輝いた。一瞬の隙。油断した...

言葉の海を漂い

「文字」に価値は無くなった。SF小説の冒頭一行ではない。今、現在、令和は三年の、この時代である。 思えば「文字」というものに価値があったのは、「文字」というものが生まれて数年間のことだったのかもしれない。次第にそれが広ま...

夢や目標を持つことのビハインド

 僕は小学生の頃、お笑い芸人になりたかった。当時全盛だった明石家さんまさんに憧れて。タケちゃんマンの悪役にサラリーマンライダーというキャラがいて、そいつはスーツ姿でスクーターに乗って登場する。「私の名はサラリーマン!ライ...

ライ麦畑のキャッチャー

ずっと。もうずっとライ麦畑のキャッチャーって一体なんなんだって疑問を抱えて生きてきた。中学生の頃初めてサリンジャーに触れてからかれこれ二十年弱の歳月が過ぎたのだろうか。最初にはっきりさせた方が良いと思うのだけど、実のとこ...

扉はいつだって不気味だ

あなた向けにカスタマイズされたあなたにとってぴったりの文章があなたにとって最も好ましい形で展示されているスペース。それって実はすごくつまらなくないですか? 最近パチンコ熱が再燃して永遠にユニコーンガンダムを打っているので...

何もない。

サルバドール・ダリ。僕が彼の絵を初めて知ったのは中1美術の教科書「サンファンデラクルスのキリスト」だった。僕の時代の教科書は主にゴッホやセザンヌ、マネといった印象派画家の絵画が主流で僕にとっては余り刺激がなかった。そこに...

横尾忠則さんとあたらしいわたし

「今の時空間に閉じ込められた自分はまだ本当の自分ではなくて、切り抜かれてどこかへ行った先で、どこかもわからない先で、どこかもわからないところから来たあなたと出会いたい。それは運命の出逢いでもあるし、本当の自分自身を知る旅...

MJ with my old mates

玄関の脇にかけたかなり大きめの掲示板にマイケルジョーダンのポスターが飾ってある。フリースローラインから踏みきって今しもリングにダンクしようと手を伸ばしている。スニーカーのロゴのあのやつである。スタジアムに詰め寄せる観衆が...